こんにちは。
心理セラピストの
おおのたかゆきです。
ここ数年、教育方針として「叱るのは良くない」という考えが強くなってきました。
ですが、昭和の時代は「叱る」のは当たり前で、むしろ叱らないとダメな大人になると考える人が大半だったと思います。
では実際、「叱る」にはどんな効果があるんでしょうか?
今日は、
- 「叱る」によって起こる悪影響
- 「叱る」は必要なのか?不要なのか?
といったテーマでお話しようと思います。
ただ、これは決して子育てや教育だけに限った話ではありません。
というのも、他人を叱らなくても、心の中で自分自身を叱っている人は非常に多いからです。
他人や自分に対して、すぐに叱ってしまう人はぜひ最後までお読みくださいね。
「叱る」とは恐怖で相手をコントロールすること

まず初めに、そもそも「叱る」とはどういった行為なのか?を定義すると、
『ネガティブ感情を与えることで相手をコントロールしようとする行為』
と言うことができます。
例えば、怒鳴りつけることで恐怖を与え、相手はその恐怖を味わいたくないために言われたことをするしかない状況に追い込まれる。
これが「叱る」です。
人間には「快(ポジティブ)を求めて、不快(ネガティブ)を避ける」本能があります。
ですので、相手に言うことを聞かせるという点では、実は叱るのは非常に理にかなった行為なんです。
まぁ簡単にいうと、相手に言うことを聞かせたい時には叱るのが最もラクだということです。
じゃあ”しつけ”という点ではやはり叱るのが一番いいのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。
確かに叱るのは最もラクに相手をコントロールできますが、実は同時にデメリットもあるんです。
「叱る」だけでは主体性が育たない

次は「叱る」のデメリットについて解説しますね。
実は叱られてばかりいると、人は主体性が育たなくなります。
主体性が育たないと、「言われたことしかできない」「自分がやりたいことがわからない」などのようになってしまいます。
でもなぜ叱られてばかりだと主体性が育たなくなるのか?
それを解説するには、まずどうすれば主体性が育つのか?を先に簡単に説明します。
人が何かを「やりたい」と思う時、それには脳の「報酬系」と呼ばれる部位が大きく関係しています。
報酬系とは、簡単に言うと「今頑張ればその先にいいことがある(報酬がもらえる)」と思える脳の機能だと思ってください。
ここが十分に育っている人は、多少辛いことであっても前向きな気持ちで最後まで頑張れるようになります。
また、頑張ればいいことがあると思えるからこそ、自ら「やりたい」という気持ちが生まれてくるわけです。
そして、この報酬系は「何かができた後に褒められた経験」によって育っていきます。
しかし、これが「叱る」の場合はどうでしょう?
最初にもお伝えしたように、叱るとは『ネガティブ感情を与えることで相手をコントロールしようとする行為』です。
つまり、叱られた人は「何かを得たいから頑張る」のではなく、「嫌なことを避けるために”仕方なく”頑張る」んです。
そのため、脳の「報酬系」は一切育たず、叱られることがなくなれば頑張ることもなくなってしまいます。
これが叱られてばかりでは主体性が育たない理由です。
本当にダメな時は「叱る」が効果的

ここまで「叱る」のネガティブな側面ばかりお伝えしてきましたが、かといって叱る必要は全くないのかと言われればそうではありません。
最初にお伝えしたように、「叱る」は相手に言うことを聞かせる上では最もラクで効果的な方法です。
そのため、本当にやってはダメなことを相手に教える際には、叱ることは非常に有効だと思います。
例えば、「人を傷つける」「危険なことをする」など。
そういったことはダメだと子どもに教える時などは「叱る」は非常に効果的だと思います。
要するに、「ラクだから叱る」のではなく「必要だから叱る」ことを意識するのが大事ということですね。
まずは「自分を叱る」を止めてみよう

今日は「叱る」について色々とお話させていただきました。
ただ、これは子育てや教育だけに関係するお話ではありません。
というのも、すぐ叱ってしまう人というのは「普段から自分自身に対して叱っている人」だからです。
そして自分に対して叱ることでも、今日お話ししたデメリットは当然あります。
あなたは何かを頑張る時、その先にある幸せな未来(報酬)のために頑張れていますか?
それとも、自らのお尻を叩いて(叱って)、無理矢理頑張っていますか?
もし、後者なら、まずは自分を叱ることから止めてみてくださいね。
そうすれば、もっと楽に、もっと幸せに頑張ることができるようになるはずですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
心理セラピスト おおのたかゆき