「抵抗しなかった方が悪い」は大きな誤解?怖い目に遭うと身体が動かなくなる本当の理由

おはようございます。
心理セラピストの
おおのたかゆきです。


僕は心理セラピストとして、時々、人には言えないような深い悩み……


例えば「性被害」のような悩みも扱うことがあります。


その中で意外と多いのが、実際の被害の後に受けてしまう、「二次被害」による心の傷だったりするんですよね。


例えば、痴漢や性的虐待を受けた方が、心無い人からこんな風に言われるケースです。


「抵抗しなかった方も悪いんじゃないの?」


正直、僕にはそんなことを言う人の神経が全く理解できないのですが……。


昨今のSNSなどを見ている限り、残念ながらそんな考えの人も決して少なくないようです。


でもこれ、本当は違っていて、「抵抗しない」のではなく、「抵抗できなくなる」んですね


今日は、そういった怖い目に遭った時に


なぜ抵抗できなくなるのか?


という理由について、できるだけ難しい言葉を使わずに、わかりやすく解説してみようと思います。

人間に備わる「4つの防衛反応」

まずはじめに、僕たち人間は、目の前に脅威が訪れた(怖い目にあった)時、身体に「防衛反応」と呼ばれる反応が起こります。


この防衛反応は、一昔前までは「闘う」か「逃げる」かの二択だと思われてきました。


しかし、その後の研究によって、現在では以下の3種類の反応があると言われています。
 

  • 闘う
  • 逃げる
  • 凍りつく


これに加えて、僕は人間ならではの防衛反応として、「コミュニケーション(話し合いで対処する)」があると思っています。


つまり、僕たち人間は、目の前に脅威が現れると、これら「4つの反応」を使って、なんとか対処しようとするわけです。

人間が脅威に対処する流れ

1.「コミュニケーション」で対処しようとする
(それでも対処できない場合↓)

2.「闘う」ことで脅威を排除しようとする
(闘っても排除できない、最初から勝ち目がない場合↓)

3.「逃げる」ことで脅威を避けようとする
(逃げられない、逃げきれない場合↓)

4.「凍りつく」ことで対処する


※2と3は、その人の性格や状況によって順番が変わることもあります。

「凍りつく」のは、生き延びるための最終手段

でも、「なんで防衛反応なのに凍りついてしまうの?それじゃ自分を守れないじゃん」と思った方もいらっしゃるかもしれません。


これは、いわゆる「死んだふり」だと思ってください。


肉食動物が草食動物を捕食する映像を見たことはありますか?


肉食動物がガブっといくと、草食動物は結構すぐに動かなくなりますよね。


あれって、即死しているわけではなく「死んだふり」をしているんです。


闘うことも逃げることもできないと判断した脳が、わずかでも生存確率を上げようと、最後の手段として「死んだふり」をするわけです。


これが、僕たち人間の身体にも全く同じように備わっています。


道で怖いお兄さんとぶつかって、謝罪(コミュニケーション)も通用せず、闘うことも逃げることも無理だと判断した瞬間、頭が真っ白になって「凍りつき」状態になる。


これを「性被害」といったシチュエーションに置き換えると……。


よっぽど腕っぷしや体力に自信がない限り、一気に「凍りつき」までいく可能性が非常に高いことがわかると思います。


これこそが、性被害にあった時に「抵抗できなくなってしまう」最大の理由なんです。

「抵抗できない」のは自分を守る「自然な反応」

ちなみに、これは人類の進化の歴史でもあります。


最も原始的な脊椎動物の頃、僕たちの祖先は自分の身を守るためには「身を隠す(死んだふり=凍りつく)」しか方法がありませんでした。


そして、「魚類」に進化して、牙や尾びれを手に入れた際には「“闘う”か”逃げる”」という選択肢が生まれました。


そして、さらに進化を重ねて「哺乳類」になった時、「コミュニケーション(群れをなす等)」という方法を身につけました。


そして、「人類」へと進化し、コミュニケーションをさらに発展させた「言語」を身につけたわけです。


つまり、僕たち人間は、追い込まれれば追い込まれるほど、DNAに刻まれた過去の記憶を頼りに、原始的な方法で自分の身を守ろうとするわけです。


性被害にあった人が「抵抗できなくなる」理由について、ご理解いただけたでしょうか?


これは決して「気持ちが弱いから」ではありません。生物として生き延びるための、極めて自然な反応の結果です。


どうか、その反応を責めるような「無知からくる悲劇」がなくなることを、心から願っています。


そして、動けなかった自分を責めている方がいたら、もう自分を責めないでくださいね。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


心理セラピスト おおのたかゆき