こんにちは。
心理セラピストの大野貴之(おおのたかゆき)です。
心理セラピストとして活動していると、大小様々なトラウマを抱えた人がセラピーを受けに来てくださいます。
しかし、経験した出来事が大きければ大きい程、抱えるトラウマも大きくなるのかと言えば、実はそうではありません。
同じ出来事を経験してもトラウマになる人とならない人がいるように、人によって受ける影響は本当に様々なんです。
じゃあいったい、トラウマになりやすい人となりにくい人にはどんな違いがあるのか?
今日はそういったお話をさせていただきます。
感情を我慢する人はトラウマになりやすい
人は大きなショックを受けると、それがトラウマ体験となって心の傷が作られてしまいます。
しかし、これには「○○といった経験をするとトラウマになる」など決められた条件があるわけではありません。
つまり、たとえ同じ経験をしたとしても人によってトラウマになる人とならない人がいるんです。
では、いったいトラウマになりやすい人となりにくい人にはどんな違いがあるんでしょうか?
それはズバリ、『感情を我慢しやすいかどうか』によって決まります。
もちろん細かい話をすると、その人が生まれ持った気質や生まれ育った環境などの影響もあります。
ただ、最も大きな影響を与えるであろう違いは感情を我慢するかどうかなんです。
そして、感情を我慢しやすい人ほどトラウマになりやすく、感情を素直に感じられる人はトラウマになりにくいんです。
人間にとって感情はビルの耐震構造と同じ
でもどうして、感情を我慢しやすい人はトラウマになりやすいのでしょうか?
それを説明するには、そもそも人間にとって感情は何のためにあるのか?といった話しをしなければなりません。
実は人間にとって感情とは、目の前の問題を解決したり、自分自身を嫌な出来事から守るために備わっています。
わかりやすく何かに例えると、人間にとって感情とは、高層ビルの耐震構造のようなものなんです。
揺れないビルほど地震に弱い
いきなりですが、あなたは全く揺れないビルと少し揺れるビルでは、どちらが地震に強いと思いますか?
パッと見だと揺れない方がいいに決まってるじゃないかと思うかもしれませんが、もし本当に全く揺れないビルがあったとしたら、そのビルは地震が来ると崩壊してしまいます。
なぜなら全く揺れないということは、地震の衝撃を全て直に受けてしまうからです。
つまり、全く揺れないビルよりも少し揺れるビルの方が、うまく衝撃を外に逃がせるので地震に強いということです。
ネガティブな感情は自分を守るためにある
人間にとっての感情(特にネガティブな感情)は、まさにこのビルの耐震構造と似ています。
つまり、嫌なことがあった時、「腹が立つ」「悲しい」「恐い」などの感情をしっかり感じることで、そのショックを外に逃がしているんです。
特にトラウマになるような大きいショックを経験した場合、身体は本能的に大きなネガティブ感情を出すでしょう。
それを感じまいと必死に抵抗した場合、感情の出すエネルギーとそれに抵抗するエネルギーがぶつかり合い、結果的に身体に大きなダメージが残ってしまうというわけです。
感情を受け入れて心の健康を保とう
ネガティブな感情は一般的にはあまり良いものとはされていません。
しかし、感情は人間だけでなく他の動物にも備わっているもので、“生きるために必要だから”備わっています。
ですので、もしあなたが感情を我慢しやすい、特にネガティブな感情にはいつもフタをしているようなら、これからはそれらを抵抗せずに受け入れてみてください。
身体から自然に出てくるものは自然に受け入れた方が、より自然体で、より健康的にいられると思いますよ。
そして既にトラウマを抱えてしまっている人に大切なのも、実は心の奥に封じ込められたネガティブな感情を消化(感じる)ことなんです。
ただし、一度トラウマになってしまった大きな感情を一気に感じてしまうと、身体がダメージを受けてしまうので、専門家の力を借りて少しずつ消化してくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
心理セラピスト 大野貴之