こんにちは。
心理セラピストの
大野貴之(おおのたかゆき)です。
いきなりですが、あなたは「恐がり」ですか?
こんな風に聞かれるとホラー映画が得意だとかジェットコースターが苦手だとかちょっと冗談っぽく聞こえるかもしれません。
もしくは人によってはバカにされてるように感じる人もいるでしょう。
ですが、実は心の健康には「恐がる」ことが大事だとご存じでしたか?
「恐い」という感情は人間にとって欠かせない感情の一つで、それをしっかり感じられないと様々な心の不調に繋がってしまいます。
今日はそんな「恐がること」の重要性についてお話してみます。
「恐がり」な人、逆に「恐がるのはみっともないと思う」人はぜひ最後まで読んでみてください。
「恐れ」の感情の役割とは
まずはじめに、そもそも「恐れ」の感情の役割とは何なんでしょう?
その答えはとても単純。
「恐れ」は「危険から身を守るため」にある感情です。
目の前に危険が迫ると「恐い」と感じるのはもちろんのこと、起こりうる危険を「想像して恐くなる(不安)」こともあります。
つまり、これらの感情は自分の身を守るために出てきているので、決して悪いものではありません。
ちゃんと不安を感じれば未来に向けて準備することができますし、恐いと感じるからこそ迫ってきた危険も回避できます。
そして、ここが大事なポイントなんですが、「恐さ」はしっかり感じると、その役割を終えてやがて消えていきます。
しかし、この「恐さ」を我慢したり見ないようにしてしまうと、いつまでも消えずに身体の中に残ってしまうんです。
「恐がり」な人ほど恐さを感じれていない
ここまでの話をまとめると、「恐い時はちゃんと恐さを感じた方が良い」となります。
ってことは「恐がり」の方が良いってこと?とあなたは思うかもしれません。
でも残念ながら、実は「恐がり」の人ほど恐さを感じられない人が多いんです。
ん?どういうこと?…一見矛盾してるようにも感じますよね。
これは、「恐がり」の人は「恐いという感情自体が恐い」人なんです。
つまり、「恐い」のが嫌でそれを避け続けているからいつまでも身体の中に残ってしまい、ちょっとした「恐さ」でも過剰に反応してしまうわけです。
コップの中に既に多くの水が溜まっていて、ちょっとした量の水で溢れてしまうといったイメージですね。
逆に言うと、普段から「恐さ」を感じられている人は恐い時にもうまく対処できるようになっていきます。
定期的にコップの中の水を処理しているので、一度に受けられる水の量が多いというわけです。
ちなみに「恐さ」を感じるのが苦手な人は、それを「怒り」に置き換えることも多いです。
怒りやすい人、キレやすい人というのは、実はとても「恐がり」な人なんですね。
恐がりな犬ほどよく吠えると言いますが、人間でも同じだというわけです。
未消化の「恐さ」は心の問題に繋がる
では「恐さ」をちゃんと感じられないとどうなってしまうんでしょうか?
最もわかりやすい症状としてはトラウマ(PTSD)があります。
これは簡単に言うと、コップの水が溢れて決壊してしまい、身体に異常を起こしてしまう症状です。
そして、普段から「恐さ」を我慢している人はコップに水が溜まっている状態なので、普通の人よりトラウマを作りやすいんです。
※ただし、事故や災害など一発でコップが溢れてしまうほどの強い恐怖を経験してしまった場合はどんな人でもPTSDになる可能性があります。
他にも、強迫性障害の原因も身体にたまった大量の「恐さ」が原因です。
ちょっとでも「恐さ(や他のストレス)」を感じると、それを回避するために強迫行動(手洗いなど)を無意識に繰り返してしまいます。
つまり、未消化の「恐さ」は溜まりすぎると心の問題を引き起こしてしまう可能性があるんです。
まずは自分に「恐がる」許可をだすこと
いかがだったでしょうか?
「恐がる(恐さを感じる)」ことがいかに大切かおわかりいただけたと思います。
なお、「恐さ」を感じられない根本原因は幼少期に「恐さ」を感じてもいい環境にいたかどうかが大きく関係しています。
- 「恐がりな子は情けない!」と恐がる事を禁止された
- どれだけ恐がっても誰もそれを受け止めてくれなかった
- 親に迷惑をかけないように感情を我慢するようになった
などの理由で、子どもの頃に「恐さ」を感じることを自分に禁止してしまっているんです。
ですので、もしあなたがあまり恐さを感じられていないと思うなら、まずは自分自身に「恐がる」許可を出してみてください。
- 恐い時は恐くてもいいよ
- 恐がってもここは安全だよ
こんな風に自分に対して声をかけてあげると、少しは「恐さ」を感じやすくなるかもしれません。
あらゆる感情は必要だから人間に備わっています。
出てくる感情を否定せず、自然体で生きることこそが本当の意味で幸せに繋がっていきますよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
心理セラピスト 大野貴之