こんにちは。
心理セラピストの
おおのたかゆきです。
この間、すごく恐い夢を見たんです。
具体的な内容はちょっと恐すぎたので言いませんが、簡単にいうと、自分は子どもで親が恐い目に遭うといった感じの夢でした。
あまりの恐さに思わず目が覚めて、それでもしばらく恐かったんですね。
ただ、僕はこの夢を見たことが『とても良い事だ』と思ったんです。
なぜなら、実は夢って脳がトラウマ処理をしているとも言われているからです。
今日はそんな夢とトラウマについて、
- なぜ恐い夢を見たのが良い事なのか?
- 夢でトラウマがどう処理されるのか?
といった話をさせていただきます。
夢を見やすい人もそうでない人もぜひ最後までお読みください。
トラウマの仕組みと解消方法
まずはじめに、トラウマの仕組みについて簡単に説明しますね。
実は人の記憶というのは、以下の5要素に分解されて記憶されています。
- 【S】Sensation(身体感覚)
- 【I】Image(イメージ)
- 【B】Behavior(動作、行動)
- 【A】Aaffection(感情、情動)
- 【M】Meaning(意味、認知的理解)
これらの要素はそれぞれ脳の別の部位にバラバラに記憶されるのですが、その際に「一つのストーリー」として関連づけられて(タグづけのようなもの)記憶されます。
そうすることでバラバラに保存された要素をまた一つに再統合し、「ストーリー」として思い出すことができるわけです。
しかし、トラウマ体験をした場合は普通に記憶するとショックが大きすぎるので、ストーリーとして関連づけずに各要素をバラバラに記憶するんです。
そのため、何らかの刺激を受けた際に
- 急に身体がギュッとなる(身体感覚)
- 突然、フラッシュバックする(イメージ)
- 謎の確認行為をしたくなる(動作、行動)
- 原因不明の恐怖感じる(感情、情動)
- 根拠なく「自分はダメだ」と思ってしまう(意味、認知的理解)
など、それぞれの要素が独立して甦ってきてしまうというわけです。
※この考え方をこれらの頭文字を取って「SIBAM理論」と言います。
詳しくは『こちらの記事』も参考にしてください。
では、どうすればトラウマを解消できるのか?
それは、本来あったはずの「ストーリー」を取り戻すこと。
そうすることで1つの記憶として脳がうまく処理(感情の消化)できるようになり、トラウマは解消されます。
夢は断片化した記憶をつなげている
では、次に夢でトラウマが処理されるとはどういうことかを解説しますね。
先ほど、トラウマを処理するには「ストーリー」を取り戻す必要があるとお伝えしました。
実はこの「ストーリー」、事実である必要はないんです。
たとえ事実でなくても、バラバラになった要素を「納得できるストーリー」としてつなげることができれば、脳はそれを処理可能になります。
例えば、映画やドラマを見ていて急に涙が止まらなくなるような体験をしたことはないでしょうか?
あれは、断片的に眠っていたトラウマの記憶が、映画やドラマのストーリーを元に一つにつながり、それが消化された(癒しが起きた)という現象です。
もちろん、感動する時は全てトラウマが関係しているわけではありませんが、「なんだか心が洗われたような気がする」時はその可能性が高いです。
そして、「夢」は脳が意図的にこれを行っていると言われています。
つまり、バラバラになった記憶の要素を脳が夢という一つのストーリーとして再統合し、うまく処理しているというわけです。
夢で見た感情をしっかり味わうことが大事
僕が恐い夢を見たのは良い事だと思ったのは、こういった夢の仕組みがあるからなんです。
ただ、一つ注意点があります。
「トラウマが処理される」というのをもう少し丁寧にいうと、「トラウマ体験をした当時の未完了の感情を完了できる」という意味です。
つまり、夢の中で眠っていた当時の感情を味わうことで、トラウマが解消(感情が消化)されていくわけです。
ですが、特に恐い夢などを見た時は、目が覚めた後は別のことを考えたり、身体を動かして「早く忘れよう」としがちですよね。
もちろん夢で見た時に感じた分の感情はちゃんと消化できているのですが、起きてすぐ忘れようとするとそこで処理は止まってしまいます。
ですので、夢で何か強い感情を感じた場合、目が覚めた後もその気持ち(余韻)をしっかり味わうことでより深く感情処理ができるんです。
「嫌な夢」も実はあなたを守るためのもの
嫌な夢を見た時って、「何でこんな夢見たんだ…」と気分が下がったりもしますよね。
でも実は、その「嫌な夢」は身体が自分自身を守るために作り出したものかもしれないんです。
なので、もし嫌な夢を見たとしても、それを悪い事と捉えずにその時感じた気持ちを目が覚めてからもじっくり味わってみてください。
そうすることで、思わぬ過去のトラウマが癒されていくこともありますよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
心理セラピスト おおのたかゆき