こんにちは。
心理セラピストの
おおのたかゆきです。
「怒り」
これは僕たち人間なら誰にでもある感情ですが、多くの人が「悪いもの」「できればなくしたいもの」のように捉えているかと思います。
また、一部の自己啓発では「怒りは二次感情」のように言われ、まるで本当は存在しないものかのように扱われることもあります。
果たして、本当に「怒り」は必要のない感情なんでしょうか?
結論から言うと、「怒り」は生きる上で必要不可欠な感情です。
しかし、「悪い感情」「二次感情」などと言われることも、実は間違っているわけではありません。
今日はそんな「怒り」を少し深堀って解説したいと思います。
すぐ怒ってしまう人から逆に全く怒れない人まで、怒りの扱いに悩みを抱える方はぜひ最後までお読みくださいね。
人間には3種類の「怒り」がある
まず、「怒り」の話をする前に、簡単に僕たちの「脳」についてのお話をさせていただきます。
僕たちの脳はその役割毎に「爬虫類脳(脳幹や小脳)」「哺乳類脳(大脳辺縁系)」「人間脳(大脳新皮質)」の3つの部位に分けられます。
爬虫類脳はその名の通り爬虫類と同じような原始的な機能を司り、哺乳類脳→人間脳へと行くにつれてより人間的な機能(言語など)を司るようになります。
そして、僕たちが一言で「怒り」と呼んでいるものは、これら3つの部位でそれぞれ違った役割を持っているんです。
つまり、「怒り」には、
- 爬虫類脳の怒り
- 哺乳類脳の怒り
- 人間脳の怒り
の3種類あるということ。
今日はこれらの3つをそれぞれ詳しく解説していきますね。
爬虫類脳の怒り:攻撃
まず1つ目の怒りは「爬虫類脳の怒り」です。
これは、厳密には「怒り」ではありません。
というのも、爬虫類には感情がないんです。
あるのは、生存本能のようなものだけなので、ここでいう怒りとは自分の縄張りを侵された相手を攻撃するといったものになります。
つまり、爬虫類脳の怒り=「攻撃」というわけです。
僕たち人間の生活の中で考えると、本当に身の危険を感じた時にとっさにその相手を攻撃する反応などがあるでしょう。
ただし、この部位で起こる反応は意識してコントロールできるものではないので、そういうのがあるんだな程度に思っていただいて大丈夫です。
哺乳類脳の怒り:一次感情としての怒り
次に、2つ目の怒りは「哺乳類脳の怒り」です。
哺乳類にも感情はありますので、ここからは正真正銘の怒りになります。
そして、この部位で感じる感情こそが本物の感情、一次感情と呼ばれるものです。
人間を含む哺乳類にとって感情は生きていく上で欠かせないものであり、ここで感じる「怒り」も非常に重要なものなんです。
その本来の役割は
- 目の前の問題を取り除く(問題解決)
- 好奇心などの行動力を生む
- 自分自身の身を守る
- 自分の大切な人、物を守る
などがあります。
しかし、この部位で起こる感情は、意思(人間脳)の力である程度コントロールできてしまいます。
例えば、「怒りはよくないものだ」と強く思っていると、本来必要なはずの哺乳類脳の怒りさえも抑え込んでしまうんです。
そうすると何が起こるかのかというと、
- 問題解決ができない
- 無気力、無関心になる
- 自分の身を守れなくなる(NOが言えない等)
- 抑圧された怒りが自分に向く(自己否定、自責等)
といった状態になってしまうんです。
この状態が長く続くと、心の病気(うつ病など)になる可能性も当然高くなります。
つまり、哺乳類脳の怒り(一次感情としての怒り)はできる限り我慢しない方がいいものなんです。
普段の生活の中で考えると、少し極端な例かもしれませんが、いじめやパワハラなど他人から理不尽な攻撃を受けた場合などです。
この時にわきあがる怒りは自分の身を守るためのものなので、抑えすぎると心を病んでしまうというわけです。
人間脳の怒り:二次感情としての怒り
最後に、3つ目の怒りは「人間脳の怒り」です。
人間脳は脳の中でも最も発達した部位であり、「思考」や「言語」を伴います。
そのため、この部位で感じる怒りはこれまでの経験や学習、そしてそれに伴う考え方、捉え方が怒りに影響しており、人によって怒りを感じるポイントが異なるんです。
ただし、共通しているのは、人間脳で感じる怒りには必ず「傷つき」が関係しているということ。
「わかってもらえない」「思い通りにならない」など、自分が傷ついた際に湧き上がる怒りが人間脳の怒りです。
つまり、この部位で感じる怒りは二層構造になっており、「傷つき」に関係する感情が一次感情、怒りは二次感情ということになります。
自己啓発本などでよく目にする「怒りは二次感情」とは、この人間脳の怒りのことを言っているんですね。
そして、人間が幸せに生きていくためには二次感情に振り回されずに一次感情を素直に感じることがとても大切です。
そのため、ここで感じる怒りは「できる限りコントロールした方がいいもの」であり、一般的なイメージも間違いではないというわけです。
まずは「怒り」に対するイメージを見直そう
ここまで3種類の怒りについて解説してきましたが、日常生活の中で「これは○○脳の怒りだ!」などと区別するのは困難です。
それこそ、毎日瞑想をするなど、自分の感覚を鍛える特別なトレーニングを積んでいるような人でない限り難しいでしょう。
なので、今日あなたに覚えてほしいのは「怒りはただ悪いだけの感情ではない」ということ。
そうやってまずは「怒り」に対するイメージを一度見直していただければ嬉しいです。
そんな風に思えるようになると、「必要な時は怒ってもいいんだ」と少しは気が楽になるかもしれないですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
心理セラピスト おおのたかゆき