こんにちは。
心理セラピストの
おおのたかゆきです。
あなたは「原因論」と「目的論」という考え方を知っていますか?
これらは簡単に言うと、問題(悩み)解決に必要なアプローチに関する考え方です。
「原因論」は、問題(悩み)解決には『原因の特定が大切だ』と考え、「目的論」は『目的の見直しが大切だ』と考えます。
元々は「原因論」が一般的でしたが、2013年頃に「嫌われる勇気」という本の流行で「目的論」という考え方が広まりました。
でも、結局どっちの考え方が正しいのでしょうか?
今回はこの「原因論」と「目的論」について、僕の考えをまとめて解説したいと思います。
心の問題を解決する上でも非常に大切な考え方になりますので、ぜひ参考にしてみてください。
「原因論」と「目的論」とは?
まずはじめに、「原因論」と「目的論」について簡単に説明しますね。
原因論とは『原因があって結果がある』という考え方で、フロイトという心理学者が提唱しました。
問題を作っている原因を特定し、それを解決することで結果を変えられると考えます。
心の問題に置き換えると、問題を作っている原因を過去に探っていき、それを解決するというアプローチになります。
目的論とは『目的があって結果がある』という考え方で、アドラーという心理学者が提唱しました。
問題にも必ず何かしらの目的があり、その目的を見直すことで結果を変えられると考えます。
心の問題に置き換えると、過去ではなく”今ここ”に目を向け、その問題を作っている目的は何かを見極め、そこを修正していくアプローチになります。
ビジネスシーンでは「なぜ?」を最低5回繰り返して原因追及するなど、元々は「原因論」が一般的な考え方でした。
しかし、この考え方は機械に対しては有効ですが、人に対してやりすぎると最終的には人格否定になる危険もあったんです。
そんな中、2013年頃に「嫌われる勇気」という書籍がベストセラーになり、この中でアドラー心理学と「目的論」が登場しました。
この「目的論」は、これまでの「原因論」とは真逆のアプローチを取り、今や未来といったポジティブな側面が強かったため、瞬く間に広まったというわけです。
結局、どっちの理論が正しいの?
では、「原因論」と「目的論」はどちらが正しいのか?
結論から先に言うと、『どちらも正しくて状況に応じて使い分けが必要』と僕は考えています。
例えば、「朝起きれない」という問題に対して原因を追究していくと、”朝が弱い体質”が原因かもしれません。
しかし、そうなると体質はどうやっても変えられないので、「原因論」だけでは問題解決には繋がりません。
こういう時は、「朝早く起きる目的(メリット)は何か?」などと「目的論」で考えていく方が解決に繋がりやすいでしょう。
とはいえ、「目的論」だけではどうしようもないケースも当然あります。
例えば、大きな事故に遭い、そのショックで家の外に出るのが恐くなってしまったとします。
この時、どれだけ”家の外に出る目的”を考えたとしても、人間はすぐには動けません。
むしろ、事故のショックが癒える前に無理をさせると、さらに症状が悪化する危険すらあります。
こういう時は、まずは事故のショックによってできた「心の傷」を癒やすよう「原因論」で考えた方が解決に繋がるでしょう。
このように、本来この2つの理論は相反するものではなく、状況に応じて使い分けるものだと僕は考えています。
にも関わらず、どうして多くの方が対立する理論のように考えてしまうのか?
そこには、ある一つの”誤解”が影響していると僕は思っています。
「嫌われる勇気」で広まった一つの”誤解”
「原因論」と「目的論」が対立関係のように扱われる背景には、「嫌われる勇気」によって広まった”ある一つの誤解”にあると考えています。
その誤解とは、『トラウマは存在しない』というもの。
「嫌われる勇気」の中ではこの一節が描かれていますが、実はこれ、全くの誤解なんです。
というのも、この書籍がそういった表現をしただけで、アドラーは「トラウマは存在しない」とは言っていません。
アドラーは過去が全てを決めるような極端な過去決定論を問題視していただけで、「トラウマが存在しない」とまでは考えていませんでした。
むしろ、『問題解決には人生の意味や目的が重要だが、それは5歳までの経験にかなり大きな影響を受ける』とアドラーは考えていたんです。
つまり、目的論の中核をなす「目的」自身にも「原因」があるということ。
こういった背景から、僕はこの2つの理論は対立するようなものではなく、どちらも重要だと考えています。
状況に応じた柔軟な思考が何より大切
僕は、人の悩みの根本原因は幼少期に負った「心の傷」だと考えています。
これはまさに、フロイトの提唱した「原因論」ほぼそのままの考え方です。
しかし、それと同時に、「心の傷」を解消するだけでは人は幸せになれないとも思っています。
たとえ心の傷を解消して”ラク”にはなれても、その先にある「幸せ(人生の目的)」を自ら考え、そこに向かって進んでいかないと”幸せ”にはなれないんです。
これはアドラーの提唱した「目的論」と同じ考え方をしています。
ですので、「原因論」も「目的論」も状況に応じてどちらも使い分けること。
こういった柔軟な思考こそが、悩み解決には最も大切だと思います。
ぜひ、あなたも両方の考え方を生活に取り入れてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
心理セラピスト おおのたかゆき