目次
- 1 不安障害ってどんな病気?
- 2 不安障害の種類とその症状
- 3 不安障害を発症する原因
- 3-1 遺伝よりも環境要因が大きい
- 3-2 大きなストレスが引き金になることも
- 4 不安障害を克服するには
- 4-1 薬物療法
- 4-1-1 薬物療法のメリット
- 4-1-2 薬物療法のデメリット
- 4-2 精神療法
- 4-2-1 精神療法のメリット
- 4-2-2 精神療法のデメリット
- 4-3 日常でできる対処法
- 4-3-1 マインドフルネス
- 4-3-2 生活のリズムを整える
- 4-3-3 適度な運動をする
- 4-1 薬物療法
- 5 強い不安を受け入れて自分らしい人生を
こんにちは。
心理セラピストの
大野貴之です。
- いつも先のことが不安で気が休まらない
- 人前に出ると不安になったり緊張する
- 戸締まりが不安で何度も確認してしまう
あなたはこんな風に、どうしようもない「不安」に襲われることはありますか?
「不安」は人間なら誰にでもある感情ですが、それがあまりにも強い場合は『不安障害』といった病気かもしれません。
この記事では不安障害とはどんな病気か?その種類や症状は?克服方法は?などを解説しています。
自分は不安が強いなと感じている方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。
不安障害ってどんな病気?
『不安障害』とは、生活に支障が出るほどの病的な強い不安や恐怖に悩まされる症状です。
何に対して不安や恐怖を感じるかの違いや、症状の違いによっていくつかの種類に分けられますが、それらを総称して「不安障害」や「不安症」と呼びます。
ただ、「不安」は未知の危険から身を守るためにも必要な感情であり、決して悪いものではありません。
しかし「健康な不安」にはちゃんとした理由があり、それが解消されると消えていくものですが、理由もなく漠然としていたり、何をしてもずっと消えないような場合は「病的な不安」と言えるでしょう。
この「病的な不安」によって生活に支障が出てしまう状態を『不安障害』と呼びます。
不安障害の種類とその症状
不安障害は1つの病気を示す言葉ではなく、病的な不安によって起こる様々な症状を総称した呼び名です。
ここでは不安障害の種類とその症状について、代表的なものをいくつかご紹介します。
全般性不安障害
「全般性不安障害」とは、常に漠然とした強い不安を抱えてしまう症状です。
他の不安障害は不安や恐怖を感じる対象が決まっているのに対して、全般性不安障害には決まった対象がなく、あらゆる不安が次から次へと浮かんできます。
例えば、「健康や安全」「仕事でミスをしないか」「家計は足りているか」「人間関係について」のように、不安の内容自体は誰もが感じるような些細なことが多いでしょう。
しかし、内容は些細なものでも日常生活に支障が出るほどの頻度で不安が生まれ、その結果、集中力の低下、頭痛、肩こり、不眠など、二次的な症状も現れます。
不安の内容が一般的なものが多いために、なかなか認識されづらい病気とも言えるでしょう。
社交不安障害
「社交不安障害」は他人からの評価や批判に対して強い不安や恐怖を感じる症状です。
- 人と接するのが恐い
- 人前で話すのが恐い
- 電話に出るのが恐い
- 人前で字を書くのが恐い
- 人前で食事をするのが恐い
- 人の視線が恐い
など、人によって苦手な状況は様々です。
こういった苦手とする状況になると、強い不安や恐怖に加えて動機、発汗、赤面、声や手足の震えなどの身体症状が出てしまいます。
一度そういった身体症状が出てしまうと「また起こったらどうしよう…」と不安を強めてしまい、その結果、さらに身体症状が強くなるといった悪循環に陥ってしまいます。
そして、最終的には人と関わる状況を避けるようになってしまい、日常生活に支障が出てしまう病気です。
パニック障害
「パニック障害」とは、パニック発作と呼ばれる激しい発作に襲われてしまう症状です。
パニック発作は強い不安や恐怖に加えて、動機、息切れ、めまい、吐き気、手足の震えやしびれ、呼吸困難などの様々な身体症状が起こります。
はじめて発作が起きた時は自分でも何が起こっているのかわからず、あまりの息苦しさから「このまま死ぬんではないか…」といった恐怖にも襲われるでしょう。
一度パニック発作を起こしてしまうと、「次また発作が起きたらどうしよう…」といった不安(予期不安)にとらわれてしまい、その不安がまた発作を引き起こす悪循環に陥りがちです。
なお、パニック発作は身体の異常ではないため生命の危険はなく、発作は10分前後でピークとなり数十分で治まります。
しかし、パニック障害のパニック発作はいつ、どんな状況で起こるかがわからないため、本人にとっては非常に恐い病気です。
分離不安障害
「分離不安障害」とは、親などの愛着を持った存在と離れることに強い不安を感じてしまう症状です。
主に年齢の低い子どもに見られる症状で、親と離れると親や自分に危険が及ぶのではないかといった強い不安や恐怖に襲われてしまいます。
そのため、一人で出かけることを怖がったり、学校に行けなくなったり、親と離れるとわかると頭痛や腹痛などの身体症状が出る場合もあります。
分離不安障害は「不安障害」に含まれるものですが、愛着の問題とも大きく関わりがあるため、以下の記事も参考にしてみてください。
不安障害を発症する原因
ここまで不安障害について種類や症状をご紹介してきましたが、そもそも障害が起こる原因は何なんでしょう?
実は、不安障害のはっきりとした原因は現在でも明らかになっていません。
しかし、いくつかの要因は指摘されているため、ここではそれらを紹介していきます。
遺伝よりも環境要因が大きい
血のつながりのある家族(親・兄弟)に不安障害の患者がいる場合、不安障害になるリスクは4~6倍高くなると言われています。
しかし、その一方で、双子を対象にした遺伝影響の調査では、不安障害の遺伝率は30%~40%だとわかっています。
他にも、幼少期に親と離別したり、虐待を受けた子供は不安障害を発症するリスクが2~5倍も高くなるといったデータも。
つまり、不安障害は遺伝よりも環境的な要因(生まれつきの性格ではなく後から学習したもの)で発症する可能性が高いということです。
例えば、親が不安障害を持っていた場合、その強い不安から子どもに対して過剰に心配したり、注意を促すような関わりをするでしょう。
そういった関わりを受け続けた子どもは
- 世の中は危険な所だ
- 物事は慎重に進めないといけない
- 失敗するのは危険なことだ
などと学習する(思い込む)かもしれません。
そうして成長した子どもは人と比べて不安を感じやすい性格となり、ひどい場合は不安障害を発症してしまうというわけです。
(これを「世代間連鎖」と呼びます。)
なお、子どもの頃に身につけた無意識の思い込みは「ビリーフ」といって様々な悩みの原因になります。
ビリーフについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
大きなストレスが引き金になることも
不安障害は、遺伝的要因や環境的要因のリスクが高かったとしても必ず発症するものではありません。
そこで考えられるもう1つの要因として「ストレス」があります。
例えば、パニック障害を発症した人の50%以上が発症前に対人関係の大きなストレスを経験していたり、社交不安障害では、発症前に人前で大きなミスをしたなどの例が報告されているようです。
そのため、大きなストレスを受けたり、慢性的なストレスを受け続けることが不安障害の引き金になるとも言えるでしょう。
不安障害を克服するには
最後に不安障害を克服するための治療法や対処法をご紹介します。
基本的には「薬物療法」と「精神療法」の2つの方法で治療していきます。
薬物療法
まず1つ目の治療法は「薬物療法」です。
不安障害を発症している方は、脳の「扁桃体」と呼ばれる部位が過剰に活動していることがわかっています。
そのため、薬を用いて脳の活動を改善させることで不安障害の症状を抑えることができます。
薬物療法は効果が表れるのが早く、処方された薬を飲むだけでいいという取り組みやすさがメリットと言えるでしょう。
しかしその一方で、薬には副作用のリスクがあったり、薬の効果はあくまで症状を”抑える”だけなので服用を止めると症状が再発する可能性があるなどデメリットもあります。
薬物療法のメリット
- 不安や発作などの症状を抑えられる
- 効果が現れるのが早い
- 誰でも手軽に取り組みやすい
薬物療法のデメリット
- 副作用がでることがある
- 薬によっては依存性が強い
- 薬の服用を止めると再発しやすい
精神療法
もう1つの治療法は「精神療法」です。
カウンセラーなどの心の専門家のもとで、不安を生み出す原因となる過去と向き合ったり、不安になりにくい新しい考え方や行動を学んで身につけていくことで不安障害を根本から解決します。
精神療法は副作用のリスクもなく、不安を生み出す根本を解決していくので再発の可能性も低いメリットがあります。
しかしその一方で、患者さん自身の自主性が何より重要になるので、ある程度の意志や根気が必要だったり、効果が現れるまでには少し時間がかかってしまうデメリットもあります。
尚、あまりに症状がひどい場合は精神療法に取り組む余裕すら生まれないはずですので、まずは薬物療法で症状を抑えてから精神療法に取り組むのがおすすめです。
精神療法のメリット
- 症状を根本から解決するので再発しにくい
- 副作用や依存性のリスクがない
- 自主的に取り組むので達成感を感じやすい
精神療法のデメリット
- 患者さん自身の意志や根気が必要
- 効果が現れるまでに時間がかかる
- あまりに強い症状の時は効果が乏しい
日常でできる対処法
不安障害を克服するには、「薬物療法」や「精神療法」といった専門家の治療に加えて、日常生活の見直しもとても大切です。
ここでは日常でできる対処法をいくつかご紹介します。
マインドフルネス
不安や恐怖が強い人は過去や未来のことを考えている時間が多く、“いまここ”にいる時間が少ないといった特徴があります。
そのため、意識を”いまここ”に置く時間を意識的に増やすことができれば不安になる時間を減らせるんです。
そこでおすすめなのが「マインドフルネス」。
マインドフルネスは簡単に言うと「瞑想」のことですが、無我の境地を目指す、宇宙と一体化する、といった宗教色はありません。
目をつむり、軽く呼吸をしてリラックスしながら、”いまここ”に起きている自分の心や体の状態に「ただ気づいて」みます。
そうすると色々な考えや感情が浮かんでくると思いますが、それらの意味を掘り下げたり、正しい/正しくないと評価したりせずに、ただありのままを受け入れてください。
暑いなら「いま暑いな」、不安になってきたなら「今不安なんだな」、雑念が浮かんでもその雑念をそのまま受け入れるんです。
そうやって”いまここ”に集中すれば心身共にリラックスでき、不安障害やうつ病の改善にも効果があるといった研究データも出ています。
また、マインドフルネスを日常的に繰り返していけば、意識が過去や未来に囚われにくくなったり、物事をフラットな目線で見れるようになる効果もあります。
理想は毎日朝晩10分ずつですが、最初は1分でも5分でもいいのでできる範囲からやってみてください。
生活のリズムを整える
不安が強い人は夜なかなか寝付くことができず、そのうち昼夜逆転生活になってしまう人も多いです。
しかし、通常人間は夜が来ると眠りについて朝が来ると目覚めるといった体内時計を持っています。
その体内時計と実際の生活リズムが異なってしまうと自律神経の乱れを引き起こし、その乱れが不安障害の改善を妨げてしまいます。
そのため、生活リズムを整えることも不安障害の克服には非常に重要なことなんです。
人の体内時計は、朝の日の光を浴びて朝食を食べることでリセットされますので、まずは「早起きをしてみる」のがいいでしょう。
適度な運動をする
不安障害の人は脳の「扁桃体」という部位に活動異常が起きていますが、その原因の1つにセロトニンの不足があると考えられています。
そのため、セロトニンの分泌を促すことができる適度な運動は不安障害の改善に効果的です。
おすすめなのはウォーキング、ジョギング、水泳などの「有酸素運動」です。
まずはできる範囲でいいのでやってみて、最終的には1日20~30分くらいの有酸素運動をできれば理想的です。
ただし、体調が悪い時やパニック発作などの症状がでている時は無理をしないよう注意してください。
強い不安を受け入れて自分らしい人生を
不安が強い毎日を送っていると、心身共に疲労がたまってきてとても辛いと思います。
しかし、だからといって不安は決して不要なものではなく、完全になくそうと思ってもなくせるものではありません。
ですので、不安障害を克服するためには、「不安をなくす」のではなく「不安を受け入れる」といった意識を持って治療に臨んでみてくださいね。
また、不安や発作が強すぎて自分ではどうしようもないと感じている方は、まずは病院で診てもらうことをおすすめします。
ちなみに僕が提供する『ライフチェンジセラピー』では、不安の根本を解消するためのカウンセリングも行っています。
薬は副作用が恐いから飲みたくない、もしくは薬と併用して根本解決したいという方は、ぜひ体験セッションにお越しくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。